トップカイザーサウンドオーディオクリニックの旅表向きには清楚、内には華やかな色香が・・・

表向きには清楚、内には華やかな色香が・・・



 なかなか実現しなかったクリニック


 Nさんには1年近く前からクリニックに来て欲しいと頼まれていたのですが、双方の時間の都合がなかなかつかずやっと今回訪問できました。2年前の芸予地震で家にもステレオにもかなりのダメージを受けたそうです。

 そういえば、お伺いした地区は広島県の中でも一番被害の大きかったところと記憶しております。昔ながらの本格的な立派な家ですが、増改築をしたところがあると仰り、ちょうどステレオを置いている部屋の半分は軒先を出したような格好になっていて強度が充分でないとのこと。

 その丈夫でない側にアンプやスピーカーが置かれています。また今日は、私の訪問を知った彼の二人の友人も、そのクリニックの現場に立ち会ってみたいという事で同席です。息子と一緒にお伺いしていますので、セッティングは彼に任せました。


 涙を誘うほど純粋無垢な音


 私の何倍も耳が良くあっという間に音を作り上げていくのです。そして、彼の出す音は本当に素晴らしく、涙が出るように音楽が純粋なのです。私自身も教わるところが多く、最近ではどちらが師匠なのか分らないぐらいです。今日は「ナイアガラSt.」を除いてインシュレーターもケーブルも持ってきていないので、頼れるのは腕一本だけという事になります。

  そのクリニックの対象となるNさんのシステムは、スピーカーがParsifal Encore(2,450,000円/1pair)、アンプがRedrose Music(2,350,000円)、CDがClasseOMEGA SACD-1(2,000,000円)、ケーブル類まで入れると、〆て8,000,000円ぐらいになるのではないでしょうか。


 トランスポートにP-0sを使っておられたということを伺っていましたが、どうしても自分の好みの音ではないということで、つい最近システムは総入れ替えのごとく変わったのだそうです。それも一気に10倍ぐらいのグレードに。

 そして1ヶ月ほど前、出張のついでに東京試聴室の方へ寄っても下さいました。その体験によって、システムのこれからのセッティングに関しては私に相談したいと確信したそうです。そんな経緯があっての今日なのです。


 例によって、事に掛かる前に公約宣言をします。

 「期待していてくださいよ!、

 今日は200万円分に相当する音質グレードアップを、

 クリニックによって実現させますから」。

 「また、結果が気に入らなければクリニック代金は頂きません」。


 恐るべきスピードのセッティング


 一番最初に手がけたのは、スピーカーの下に敷いてあるコーリアンボードの方向チェックです。その次にスピーカーその物の方向チェックを済ませます。これは見事なまで一直線上にきれいに揃っていました。最近のハイエンドスピーカーは大体ユニットのエネルギーの方向が管理されて来始めているようです。

 ただエンクロージャーの響きの方向はウーハー部分も中高域部分も理想とは反対に置かれていました。どうせ動かさなければなりませんので、勢いスピーカーの底に付いているスパイクの序列確認もした上で「加速度組み立て」を施します。

 もう一つこのスピーカー独特の構造なのですが、お互いの振動の影響を無くす為に御影石で縁を切り、更にその間に介在する振動減衰素材としてソルボを使っています。当然この方向についても徹底的に調べた上で組み直したのです。

 この作業も息子はほんの20分ぐらいでやってしましましたが、私でしたらその5倍は掛かっていたでしょう。こうして組み上げられたスピーカーを元に、大体ではありますがカイザーウェーブによる音の良いポジションを見つけた上で慣らし運転を始めます。

 元の音は低音と高音が大きくではありませんが分離していました。お互いが上手くつながった鳴り方に変化したものですから、この時点でもNさんの顔はにんまりとしてご機嫌の様子です。


 新しいセッティング技術の普及は地道な啓蒙活動から


 何をどのように説明すればこの「音のカラクリ」というものを理解して頂けるのか、いつも真剣に考えております。特に「加速度組み立て」という新しい技術については、現時点では皆さん懐疑的にしか受け止めてはくれません。

 この場でも、そうした空気はほんの僅かではあってもそう感じずにはいられません。そうでしょう、特に今日の場合は2ヶ所同時の加速度組み立てをしたのですから、私だってどちらの部分がどのような効果をもたらしたのかは分析して考えても分らないところがあります。

 また、15分ぐらい経ってからでないと音も落ち着きませんので、連続してやってもせっかくの細かなセッティングの追い込みも判断ミスを犯しかねません。それは良くなったり悪くなったりの波を繰り返しながら、徐々に良い方向に変化して行くからなのです。

 コツはというと、色々なテンポの曲をかけてスピーカーその物をシャッフルさせてやる必要があるのです。そうすれば、あらゆる動きに対応出来る体制が整い、音楽がさらによく見えるようになってくるはずです。

 そうしてお願いしたディスクをかけてもらい進行していくわけですが、次第次第に音が良くなってくるのを確認出来るのでしょう、3人とも自分を納得させるように首を縦に振りながら、嬉しそうに、またまた、にんまりとした顔に変わってきました。


 本日の真打ナイアガラSt.の試聴


 ここらあたりで私達と皆さんとの間でコミュニケーションが成立し始めたのが分りました。このタイミングを見計らったようにして「ナイアガラSt.」の試聴をして貰う事になります。これがお客さん宅での記念すべき初めての披露なのです。

 もちろん新品ですからその場で封を切るわけですが、「慣らしなど、どこの国の言葉?」といわんばかりです。つないで出て来た音の感想はというと、高品位ステレオの音が目の前から消えてなくなり、そこには「素晴らしい音楽が存在するだけ」といった表現しか見当たりません。何度も言い古された言葉ですが、やはり音楽に魂が吹き込まれたような変化です。

 これぞ音楽を楽しむべきスタンダードなのでしょう。

 どんなシステムにつなごうが音楽が聞こえてくる、

 まさしく私の望む理想の音なのです。


 加速度組み立ての確かめ算


 クリニックの音の効果については、結果が何よりも物語ってくれますのでこうした実演に勝るものはありません。ただ先ほどは一度にやった関係上、何がどのようにどうなったのかが具体的に分りにくい所がありますので、ハッキリと確認して頂ける方法を取ることにしました。

 Parsifal Encoreは低音部と高音部が分離していますので、両者を連結する為のターミナルが存在します。従って、スピーカーターミナルが3ヶ所あります。片側6個の締め付けボルトを外し、序列を決めた上で組み直すという試みです。

 果たして、どれだけの音質向上効果があるのか?・・・・。

 集中しなければその差は分らないかもしれないと思うのでしょう、皆さん半端ではない緊張した面持ちです。

 先ほどから何度も聴いております、サラ・ブライトマンの歌声がまるっきり違うのです、生き生きとした声に生まれ変わりました。先ほども素晴らしいと思って聴いていたのですが、今のこの音を聴いたらもう元には戻れない!、そんな変化となって「加速度組み立て」の効果を皆さんにお披露目です。

 これだけのクリニックを施したParsifal Encoreは今のところ世界に一台しかありません。したがって、紛れもなくNさんのモノは世界で一番音の良いParsifal Encoreであると私が断言致します。


 本日はありがとうございました


 ----- Original Message -----
 From: "N.N"
 To: <info@rosenkranz-jp.com>
 Sent: Thursday, November 20, 2003 1:22 AM
 Subject: 本日はありがとうございました


 貝崎様

 こんばんは、Nです。

 本日は長時間に渡り様々なクリニック指導を頂き誠にありがとうございました。そして、折角息子さんとお二人で来て頂いたのに何もお構いできなかったことをお詫び申し上げます。

 つい先ほどまで、本日同席した2名とカイザーさんの技術のすごさについて語り合っておりました。配置も替えず、ケーブルも替えず、ネジやソルボの締め直しや張替えだけでもあんなに音が変わるという事実にただただ驚くばかりです。

 今日は遅いので週末ゆっくり新しい音楽に浸り、お借りした電源タップ「ナイアガラSt.」のレポートにつきましても、なるべく早くお手元にお送りできればと考えております。本日は本当にお世話になりました。息子さんにもくれぐれも宜しくお伝えください。

 貴殿の今後益々のご発展を祈念し、取り急ぎではございますが、お礼のメールをお送りします。


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